白ワインの健康効果

白ワインにも健康効果はあるのか

ワインの健康効果というと、もっぱら赤ワインばかりが注目されるが、白ワインはどうなのだろうか。
 
白ワインに含まれるポリフェノールには、ある特徴がある。
白ワインのポリフェノールの総量は赤ワインに比べて少ないのだが、赤ワインのポリフェノールに比べて分子量が小さいという特徴がある。
胃や腸内で吸収されやすく、抗酸化作用が早く現れる。
つまり、量は少ないが性能がいいというわけだ。
特に、日本で栽培されている甲州種の白ワインは、低分子ポリフェノールが多く含まれているという。
 
白ワインならではの優れた健康効果もある。
それが大腸菌、サルモネラ菌などの食中毒菌に対する強い抗菌力だ。白ワインは、赤痢菌、サルモネラ菌、大腸菌などの食中毒菌に有効であることは古くから知られている。
これは白ワインに含まれるアルコールと有機酸の相乗的な働きによるものだ。

参考・引用
日経新聞・夕刊 2016.10.20



白ワインにも健康効果はあるのか 実は・・・

今、ワインが人気だ。
実はここ数年は「第7次ワインブーム」と言われ、日本のワインの消費量は過去最大を更新している。
今なぜ、ワインが人気なのか? 
その背景には、安くておいしいワインが手軽に入手できるようになったという面もあるが、忘れてはならないのが「健康にいい」というイメージだ。
 
ワインの健康効果というと、もっぱら赤ワインばかりクローズアップされるが、白ワインはどうなのだろうか。
さらに、食前酒などでもおなじみのスパークリング・ワインは・・・。
 
暑い時期にはキリッと冷えた白ワインが飲みたくなるものだが、気候にかかわらず、最近、白ワインを選択する人が増えている。
 
実際、少し前の調査になるが、国税局による「ワインに関するアンケート」(2007.531 ~ 2008.11.22)によれば、最近の日本人は赤ワインより白ワインの方を好む傾向がみられる。
同アンケートでは、30.9%が白ワインが好きと回答したのに対し、赤ワインは28.8%と、わずかだが白ワインが上回った。
 
ワインが日常的な食卓に取り入れられるようになった結果、和食に合いやすい白がより好まれるようになっているという声も聞く。
「フレンチ・パラドックス」の影響で、圧倒的に赤ワインの消費が多かった1990年代後半とは状況が異なるようだ。
 
しかし、今回のテーマである“健康にいい”という面では、白ワインの影はちょっと薄い。
あるアンケートで「ワインのイメージは?」と聞くと、「赤ワインは健康にいいよね」という返事がすぐに返ってくるが、「白ワインは?」と聞くと、「好きだけどカラダにいいのかよくわからない」といった回答が多かった。
 
「健康にいいワインは赤ワイン」というイメージが強いが、実は白ワインにも優れた健康効果がある。
「牡蠣にはシャブリ(白ワインの一種)が合う」とはよく言われることだが、それには味わいだけではない、健康に関係する立派な理由があるのだ。
 
ある製法で作った白ワインには、他のワインにはない“いいこと”もあるという。
こうしたあまり知られていない白ワインの効能は・・・
果皮と種子を除いて仕込む、だからポリフェノールが少ない
先に、白ワインと赤ワインの違いを簡単におさらいしておこう。
違いは大きく2つある。
一つはブドウの違い。
赤ワインはカベルネ・ソーヴィニヨンなどの黒ブドウを使って作るが、白ワインはシャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン、リースリング、甲州などの白ブドウから作られる(厳密には、黒ブドウからも白ワインは作ることができる)。
 
そしてもう一つは、赤ワインはブドウの実を果皮や種ごと発酵槽に入れて発酵させるが、白ワインは、収穫したブドウを破砕したらすぐに圧搾機で搾汁する。
そして、その果汁を発酵槽で発酵させるのだ。
 
つまり、白ワインは果皮や種にある成分があまり抽出されない。
ブドウに含まれるポリフェノールの多くは果皮や種に含まれている。
このため、白ワインは赤ワインに比べてポリフェノールの量が少なくなってしまうわけだ。
実際、さまざまなワインのポリフェノールの含有量を計測した結果によると、300~700ppm程度で、赤ワインの半分から数分の1程度となっている。

白ワインのポリフェノールは少ないが性能がいい
、白ワインに含まれるポリフェノールは量は少ないが、ある特徴があるという。
 
白ワインのポリフェノールの総量は赤ワインに比べて少ないが、赤ワインのポリフェノールに比べて分子量が小さいという特徴がある。
このため、胃や腸内で吸収されやすく、抗酸化作用が早く現れる。
つまり、量は少ないが性能がいいわけだ。
特に、日本で栽培されている甲州種の白ワインは、低分子ポリフェノールが多く含まれているという。
 
ちなみに、白ワインの中でも「樽」で熟成させたタイプのものは、ポリフェノールの含有量が少し増えるという。
樽に使われる木に含まれるポリフェノールがワインに移るためだ。
一般に、カリフォルニアなどのニューワールド産の白ワインは、樽の香りが強いものが多いが、そういったタイプはポリフェノールが多いそうだ。

白ワインには強い殺菌効果がある
白ワインならではの優れた健康効果もある。
それが、大腸菌、サルモネラ菌などの食中毒菌に対する強い抗菌力だ。
 
白ワインには、赤痢菌、サルモネラ菌、大腸菌などの食中毒菌に有効であることは古くから知られている。これは、白ワインに含まれるアルコールと有機酸の相乗的な働きによるものだ。
 
実際、ある実験では白ワインでサルモネラ菌、大腸菌をそれぞれ培養したところ、サルモネラ菌は10分間、大腸菌は20分間で10万個の細菌が数個まで減少したという。
赤ワインでも同じように殺菌効果があるが、殺菌力は白ワインの方が強い。
 
食いしん坊なら、「生牡蠣にはシャブリ」というフレーズを聞いたことがある人も多いだろう。
シャブリとは、フランスのシャブリ地区(ブルゴーニュ地方の最北端)で生産されるシャルドネ種で造った白ワインのことだ。
一般に「味、おいしさ」の面で相性がいいという意味で使われることが多いが、それだけではなく、「雑菌汚染が問題になる生の魚介類を、即効性の殺菌効果が高い白ワインと一緒に食べることで安全が高められる」という側面もあったわけだ。
 
私的コメント
生牡蠣の食中毒の多くはノロウイルスによるものです。
白ワインがこういったウイルスに対して殺ウイルス作用があるかどうかが大切です。
しかし、残念ながら今のところ、白ワインに殺ウイルス作用があるという話は聞いたことがありません。

白ワインの健康効果はこれだけではない。
ワインには赤白を問わず血圧を下げ新陳代謝を活発にしたり、腸内環境を整えたりする効果がある。
新陳代謝を活発にする効果は、ワインに多く含まれるカリウムによるものだ。カリウムには利尿作用があり、体外にナトリウム(塩分)を排出してくれる働きがある。
また、赤白ワインいずれにも多く含まれる有機酸により、腸内細菌群のバランスを整え、ビフィズス菌などの善玉菌を増やす効果も期待できる。

固有の「甲州」種はアミノ酸が豊富
白ワインにはその製造法により、健康効果が高まるものもある。
その一つが、最近人気の白ワイン用のブドウ「甲州」種を醸造する際に使われる「シュール・リー」という製法だ。
 
シュール・リー製法とは、フランス・ロワール地方で、「ミュスカデ」というブドウなどから白ワインを造る際に伝統的に使われる手法で、ワインの香りやボディーを豊かにするために用いる。
甲州は山梨を中心に栽培されている日本固有の品種だが、これまで味わいが平板だといわれ長い間評価が低かったことから、この製法が導入された。
 
シュール・リーとは「オリの上」という意味。
通常、発酵が終了したワインはタンクや樽の底に酵母や酒石などがオリとして沈むため、その上澄みだけを別のタンクなどに移すが、シュール・リーはワインを沈殿したオリの上で半年ほど熟成させる。
こうすることで、酵母から抽出されたアミノ酸が増え、栄養価が高いワインになる。

ある実験では、アミノ酸の中でも、アスパラギン酸、ヒスチジン、リジンが特に有意に増加した。
 
また、甲州種には、「プロリン」というアミノ酸が多く含まれている。
プロリンは、破壊されたコラーゲンを修復する力を持ち、肌に潤いをもたらす天然保湿成分だ。
甲州ワインには多量のプロリンが含まれていて、シャルドネなどのヨーロッパ系ブドウ品種を用いて醸造されたワインと比較すると、2~3倍多く含まれている。

スパークリング・ワインの健康効果は?
食前酒などでおなじみ、最近では専門のバーがあるほど人気のスパークリング・ワインについて・・・。
健康効果は、その味わいや色合いから白ワインに近いように思えるが、実際のところはどうなのだろうか。
 
スパークリング・ワインは、まず白ワインを作り(一次発酵)、これに糖分と酵母を加え、瓶やタンク内で二次発酵させる。
このため、健康効果は白ワインとほぼ同じになる。
しかし、酵母と接している時間が長くなり、アミノ酸などの成分がワインに溶け出すため、通常の白ワインに比べて、アミノ酸成分が豊富になります。
殺菌効果も白ワインと同じなので、魚介類と合わせるのにも適している。
 
なお、スパークリング・ワインに含まれる炭酸(二酸化炭素)は、この二次発酵によりできるのだが、安価なスパークリング・ワインでは、白ワインに二酸化炭素を吹き込んだだけという製法をとっていることもある。
そのため、健康効果を考えるなら、伝統的な製法で作られるシャンパン(フランス)、カヴァ(スペイン)、スプマンテ(イタリア)、ゼクト(ドイツ)や、それに相当する製法をうたっているワインを選びたい。

参考・引用
日経Gooday 2016.10.22

座ってもできる運動で心も体もリラックス

座ってもできる運動で心も体もリラックス グッと力・脱力を交互に

入社や転勤、異動などで環境が変化する4月。適応しようとして、心や体に過度なストレスが生じやすい。
順調なスタートを切るために、緊張をほぐす運動をこまめに取り入れよう。
 
人の体は暑さや寒さ、不安などの精神的刺激を受けると一定の反応を示す。
情報社会のテクノストレスから、「頑張ろう」といった意気込みまで、刺激は多岐にわたっている。
 
特に春は、あいさつを皮切りに、人とのコミュニケーションにまつわる心理的な反応が起きやすい季節だ。反応の1つ、筋肉が過剰に縮む「筋緊張」に働きかけることで、心身のストレスを効果的に和らげる運動がある。
 
筋肉の部位ごとに緊張(力を入れる)と弛緩(脱力する)を繰り返すことで、脳に「今は興奮しなくても良さそうだ」と感じさせて、体をリラックス状態に導く。
椅子に座っていても立っていても、寝た状態でも取り組める。
 
運動の際は、力の入れ具合と脱力を意識してほしい。
7割程度の力をかけて、1つの動作を5~10秒程度続ける。
ゆったりと呼吸しながら、20秒ほどかけて力を抜く。血液や体液が巡る、じわっと温かい感触を味わってみよう。
 
初めに楽な姿勢で、大きく深呼吸する。
まずは腕を体の横に垂らし、手をギュッと握りしめてから緩めよう。次は腕を曲げて力こぶを作るように力を入れ、その後腕を下げて緩める。
 
続いて、腕を下げたままで肩だけ引き上げる。
手先から始めて、肩の方に向かって順に動かしていくと、体にかかる負担が少なくて済む。

腕の動きが終わったら、曲げた両肘を胸の前に近づけて「胸縮め」。
次は両肘を開いて「背中縮め」。
「首倒し」は手のひらと頭で押し合うようにする。

人と会う前に顔を動かしておくと、表情が生き生きするだろう。
「顔面縮め」で目や口をすぼめて中央に寄せ、「顔面開き」でできるだけ大きく開ける。

体幹は座った状態の「机押し」で刺激しよう。
学校や職場のデスクを、肘から先と手のひらで押し下げるようにすると、おのずと腹部に力が入るはず。
難しい場合は下腹部に手を当てて、息を吐きながらおへそ周辺をへこませるとよい。

続いて、立った姿勢で「クロス締め」。
両脚を交差し、ももの内側とお尻に力を入れて、内側に縮め込むように力を入れる。
緩める時は、ゆっくりと脚を戻す。最後は気持ち良く伸びをして脱力。大きく深呼吸してリラックスする。
 
体に痛みが出ないように、心地よく感じる範囲で動かそう。
脱力の感覚は初めは分かりにくいかもしれないが、繰り返すうちに感じ取れるようになる。
状況に応じて1、2種類の運動を選んでもよい。
続けることで心身の自律機能が回復し、ストレス反応が起きにくい体に変わっていくのが実感できるだろう。
 
ここ一番の緊張しそうな場面の直前、疲労を感じたときなど、こまめに各部位を動かして、心身を健やかに保とう。

参考・引用
日経・朝刊 2018.4.7

再生医療で髪の毛フサフサ

フサフサ育つ再生医療 幹細胞培養し移植、頭皮1センチ角から1万本

おでこや頭頂部にかけて髪の毛が薄くなる男性型脱毛症。成人男性の3人に1人が悩んでいるともいわれる。
最近は発毛を促す薬に加え、再生医療でフサフサの状態を取り戻そうという試みが始まっている。

男性型脱毛症の原因は、頭皮の中にある「毛包(」という器官の働きに深く関係している。
 
毛包は髪の毛を作る工場のような器官だ。
根元にあるスイッチ役の毛乳頭細胞が指令を出し、毛髪をつくる毛母細胞が分裂を繰り返す。
毛母細胞はケラチンというたんぱく質を蓄積しながら次々と死んでいき、上に押し出されて髪の毛になる。
 
正常な髪の毛は、毛母細胞が活発に分裂する「成長期」から、成長が止まる「退行期」、古い毛髪が抜ける「休止期」というサイクル(毛周期)を繰り返しながら生え替わっていく。
 
ところが、男性型脱毛症の人では、このサイクルに異変が起きている。
通常は2~6年ほど続く成長期が極端に短く、数カ月から1年程度で退行期に。その結果、髪の毛が十分に成長せず、細くて軟らかい状態のまま抜け落ちてしまう。
 
サイクルを早める原因の一つは、睾丸や副腎などで作られる男性ホルモンのテストステロンだ。
遺伝や体質などの個人差もあるが、血液の巡りで毛包に運ばれると、酵素の働きで別の物質に変わり、毛乳頭細胞にある受容体にくっついて、毛髪の発育を抑える物質を分泌させる。
 
薄毛の仕組みが分子レベルで理解されるようになり、新たな治療薬の登場につながった。
内服薬の「フィナステリド」「デュタステリド」は、テストステロンに関わる酵素の働きを阻害して薄毛の進行を防ぐ。
塗り薬の「ミノキシジル」は、毛乳頭細胞を活性化させる効果が知られている。
ただ、脱毛症が進んでしまうと、毛母細胞や毛乳頭細胞が反応しにくくなり、薬が効きにくくなる限界もある。

     *
 
新たな切り札と期待されるのが、失われた毛包の働きをよみがえらせる再生医療だ。
 
理化学研究所生命機能科学研究センターの研究チームは、マウスのひげの毛包にある「上皮性幹細胞」と「間葉性幹細胞(毛乳頭細胞)」の2種類の幹細胞を取りだして培養。
それぞれを集めて密着させ、毛包のもとになる「再生毛包原基」と呼ばれる組織を作った。
生まれつき毛のない別のマウスの背中に移植したところ、背中から毛が生えたという成果を2012年に論文発表。
世間を驚かせた。
 
チームは、19年度にも脱毛症の男性らに試す臨床研究を始める目標だ。
薄毛が進んでいる場合でも、男性ホルモンの影響を受けにくい後頭部では、太い毛髪が残っている。
その毛包から2種類の幹細胞を取り出せれば、再生毛包原基を培養できる。
大量に増やして薄毛の部分に移植すれば、移植先の頭皮で発毛すると考えている。
 
実際に、ヒトの毛包から2種類の幹細胞を取りだして増やすことに成功。
数年の試行錯誤の末、効率良く増殖させる生理活性物質を見つけた。
京セラなどと共同で、高品質の毛包原基を大量につくる自動化装置の開発も進めている。
 
正常な頭皮を切り取って薄毛の部分に移植する「自毛植毛」という治療法もあるが、この方法では頭皮全体の毛髪の本数は増やせない。
 
一方、毛包を増やす再生医療なら、わずかな面積の頭皮からとった組織を大量に増やして移植し、毛髪の数を増やせる利点がある。
頭皮1センチ四方から、薄毛をカバーするのに十分な1万本の毛髪を再生するという。
 
辻さんは「毛髪の再生は夢ではなく、現実と言える段階が目の前まで来ている」と話す。

     *
 
横浜国立大の福田淳二教授(生物工学)も、幹細胞を使って毛包を作り出す別の手法に取り組んでいる。
 
直径1ミリのくぼみがある特別な培養器に、バラバラにした2種類の幹細胞を入れて毛包原基を作り出した。

従来のプラスチック製の容器では、細胞に酸素が行き届かず培養の効率が悪かった。
酸素をよく通すシリコーン製にすることで、一度に大量の組織を作れるようにした。
 
マウス実験で、作製した毛包原基を背中の皮膚に移植し、毛が生えてくることを確認。
男性型脱毛症の患者の毛包を使ってマウスに移植する研究を今年4月から始めるなど、ヒトへの応用に向けて準備を進めている。

福田さんは「5年以内に臨床研究をしたい」としている。
 
新しい毛を生み出すこれらの研究とは別に、細く短くなった毛を太く長くすることでボリュームを増やす研究もある。
 
東京医科大の坪井良治主任教授(皮膚科学)は、東邦大や資生堂と共同で、男女66人を対象にした臨床研究を2年前に開始して効果を調べている。
 
後頭部から直径数ミリの頭皮を採取し、毛根にある特殊な細胞を取り出して培養する。
この細胞には、毛包の働きを再び活性化させる作用があると考えられている。
増やした細胞を頭皮に戻すと、太い髪の毛が育つサイクルが回復する可能性がある。
 
坪井さんは「自分の細胞を培養して移植するので、拒絶反応などのリスクが小さい。女性も含めて幅広い人に応用が期待できる」と話している。

<iPS細胞にも可能性> 
理化学研究所などのグループは2016年、マウスのiPS細胞から毛包や皮脂腺などを含む「皮膚器官系」を再生する技術を開発した。
再生した毛包などを別のマウスに移植すると、神経などの周囲の組織と融合した。
将来、iPS細胞も毛髪の再生に役立つようになるかも知れない。

参考・引用
朝日新聞 2018.5.28

EASO参加

East asia society of otologyという学会が韓国でひらかれました。

東アジア耳科学会

2018.5.24-26までソウルで開かれました。

 

めまいは耳科学のなかでは主流ではないのですが韓国では今めまい学がさかんなようでかなりの演題がありました。

レベルの高い物も多かったです。

カテゴリー: 未分類

前庭神経炎

Auris Nasus Larynx. 2018 Jun 1. pii: S0385-8146(18)30274-8. doi: 10.1016/j.anl.2018.05.009. [Epub ahead of print]
The extent of vestibular impairment is important in recovery of canal paresis of patients with vestibular neuritis.
Hwang K1, Kim BG2, Lee JD3, Lee ES4, Lee TK4, Sung KB4.

上前庭神経炎と全前庭神経炎で6ヶ月12ヶ月後のCP%をみると全前庭神経炎で回復が悪いことを示し前庭神経炎では障害の程度が大きいほど半規管機能の回復が悪いことをのべたものです。
全例にカロリックテストを6,12月後に行う落

カテゴリー: 未分類

「がん探知犬」

「がん探知犬」 動物の嗅覚 早期発見に応用

1万2000年前のイスラエルの遺跡から人と一緒に埋葬された骨が発見されるなど、犬は「最古の家畜」といわれています。
 
人間の1億倍ともいわれる犬の嗅覚をがんの早期発見に活用しようという試みがあります。
訓練を受けた犬が受診者の尿のにおいを嗅ぎ分けてがんの早期発見につなげようというもので、山形県金山町は昨春から「がん探知犬」による検診を試験的に始めています。
 
私的コメント;
「人間の1億倍ともいわれる嗅覚」で心配なのは、臭い匂いを嗅いだ時にはどうなるんでしょうか。
余計な心配をしてしまいます。
そもそも、いい匂い、臭い匂いが人間の中で(ほぼ)世界中で共通なのも不思議です。
ただ、「世界中」というのは少し大袈裟で、納豆の匂いは「履き古した靴下の匂い」と外国の人には感じるようです。

参考;
世界の臭い食べ物ランキング
https://matome.naver.jp/odai/2141234102101598901

同意が得られた927人のうち11人の尿から陽性反応が出たとされます(昨年12月時点)が、精密検査などとつき合わせた最終判定には時間を要します。
 
ただ、犬がどの物質を「がんのにおい」と感じているかは分かっておらず、判定は「犬まかせ」です。
がんのにおいを感じないケースが続くと犬がやる気を失うこともあるようです。
がん患者の尿が入った容器を交ぜて正解させることによって、やる気と集中力を保つ工夫も必要になるといいます。
 
犬よりずっと小さく、体長1ミリメートルにも満たない線虫の嗅覚を利用する取り組みも始まっています。線虫は大量に培養でき、取り扱いも容易なことから実験材料として広く利用されてきました。
この線虫の特徴は、犬と同等かそれ以上に優れた嗅覚を持つことです。目がないかわりに、鋭敏な嗅覚で餌に近づいていく習性があります。
 
線虫はがん患者の尿にも近づく性質があるとされ、がんの早期診断への応用が期待されています。
簡単に培養できるため、検査費用も安価と見積もられ、日立製作所なども開発に参加しています。
 
他にも「夢の検査法」が次々に提案されていますが、早期発見の目的は「がんによる死亡率を下げる」ことで、有効性の評価には少なくとも10年以上は必要です。
また、治療を要さないがんを発見してしまう「過剰診断」はかえってマイナスになります。
 
現在、有効性が確認されている検診は、胃がんのバリウム検査・胃カメラ、肺がんのレントゲン検査、大腸がんの便潜血検査(検便)、乳がんのマンモグラフィー、子宮頸がんの細胞診です。
まずはこれらの検査をきちんと受けることが大切です。

参考・引用
日経新聞・夕刊 2018.4.25
(執筆 東京大学病院・中川恵一准教授)

初の便秘「診療ガイドライン」まとまる

便秘解消に前進? 初のガイドラインの気になる中身

トイレに行った後もすっきりしない、便がたまっておなかが痛くなる・・・。
便秘は若い女性だけでなく、60歳以上の中高年の男女が多く悩まされている症状だ。
「たかが便秘」と放置していると生活の質を落とし、命の危険につながることもある。
 
便秘の治療薬を販売するマイランEPD合同会社は、2017年11月22日に慢性便秘症についてのメディアセミナーを開催。
2017年10月に日本で初めて作成された便秘のガイドライン、「慢性便秘症診療ガイドライン2017」の作成に携わった横浜市立大学大学院医学研究科・肝胆膵消化器病学教室主任教授の中島淳氏が講演を行った。
その中から、便秘の現状と治療のポイントは・・・。

便秘は「回数」だけでは決まらない
若い女性に多いというイメージがある便秘。
しかし歳を取るにつれて、男女ともに便秘に悩む人が増える。
2013年の国民生活基礎調査によると、80歳以上では10人に1人以上が便秘の症状を抱えている。
便秘は60歳以下では女性に多いが、60歳を超えると男女ともに増えて、男女差がなくなってくる。
介護が必要になったことをきっかけに便秘になる方も多く、今後高齢化が進むと、ますます便秘で悩む患者さんは増える。

そもそも便秘とはどのような状態なのだろうか。
2017年10月に日本で初めて作成された「慢性便秘症診療ガイドライン2017」(日本消化器病学会関連研究会慢性便秘の診断治療研究会・編)では、便秘は「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」と定義されている。
 
この「十分量かつ快適に排出できない状態」には、大きく分けて2つのタイプがある。
一つは、排便の回数や量が少ないため、便が腸の中に滞ってしまうタイプ。
もう一つは、量や回数は問題ないが、便が快適に排出できず、残便感があるタイプだ。

便秘とは・・・
本来体外に排出すべき糞便を、十分量かつ快適に排出できない状態
(以下のタイプに分けられる)
(1)排便の回数や量が少ないため、便が腸の中に滞るタイプ
(2)量や回数は問題ないが、便が快適に排出できず、残便感があるタイプ
 
よくある誤解は、「排便の回数が多ければ、便秘ではない」というものだ。
毎日出ていても、便が硬いと力んでもすっきり出せない。
このように出すときに不快感があったり、出した後に残便感があったりする場合も実は便秘といえる。
便が硬いと一度に出せないために、1日に何回もトイレに行く人がいる。
すると、医師によっては、排便の回数だけに注目して、『便秘』ではなく『下痢』と判断してしまう場合もある。

男性の場合は「恥ずかしい」という理由で便秘を隠す人もいる。
しかし、便秘を長期間放置すると、たまった便によって腸に穴が空き、最悪の場合は死亡してしまうケースもある。
さらに便秘は大腸がんなどの重篤な腸の疾患が原因になっていることもあるため、病院で正しい診断を受けることが重要だ。
米国の調査では、便秘の人とそうでない人を比べると、便秘の人は生存率が低いというデータがある。
「たかが便秘」とあなどることはできない。

エビデンスのある治療薬が次々と登場
便秘の治療では、薬を飲む前にまず生活指導が行われる。
基本は、適度に運動をして十分な睡眠をとること、そして食物繊維不足に気を付けることだ。
便秘の患者さんの中には、1日2gくらいしか食物繊維をとっていない人もいる。
わが国の推奨量は、成人男性で1日20g以上、成人女性で1日18g以上だ。
極端なダイエットでも食物繊維の摂取量が減り、便秘の原因になる。
ダイエットが原因で便秘になると、その後10~20年は便秘が治らないことがある。
食生活の乱れは便秘の大元だ。
これらの生活習慣の見直しを行っても便秘が改善しない場合は、飲み薬を使用する。

【酸化マグネシウム】便を軟らかくするが、高齢者や腎機能の悪い人は要注意
日本で古くから広く使われている薬は、酸化マグネシウム(商品名:マグミットほか)だ。
この薬は、腸内で胃酸や膵液と反応することで塩類の濃度を高め、浸透圧を働かせて腸管から腸内へ水分を移動させ、便を軟らかくする。
 
酸化マグネシウムは、繰り返し使用しても効果が弱まる(便秘が悪化する)ことがないという利点があるが、腎機能が低い人や高齢者が長期間にわたって使うと、血中のマグネシウム濃度が上がり、高マグネシウム血症になる可能性がある。高マグネシウム血症は、だるさや脱力、血圧低下などを引き起こし、命に関わる場合があるため、高齢者や腎臓が悪い人が酸化マグネシウムを飲む場合は慎重に使用し、定期的に血中のマグネシウム濃度を測定する必要がある。

【センナなどの刺激性下剤】作用が非常に強力で、依存性が高い
もう1つ身近な便秘薬といえば、センナを代表とする刺激性下剤だ。
刺激性下剤は、大腸の蠕動運動を促して排便を起こす効果の強い薬だ。
日本は刺激性下剤大国といわれている。
刺激性下剤は薬局でも売られている薬だが、作用が非常に強力で、毎日飲むと水のような便になってしまいう。
依存性が高く、飲む量がどんどん増えるので注意が必要だ。

【ルビプロストン】慢性便秘症への確かなエビデンスあり。吐き気に注意
近年、便秘の治療薬は進歩している。
2012年から使えるようになったルビプロストン(商品名:アミティーザ)は、便秘治療薬としては32年ぶりの新薬だ。
これまでの便秘薬には、臨床試験に基づいた科学的根拠(エビデンス)はなかった。
ルビプロストンは慢性便秘症患者を対象とした臨床試験を経て、どんな患者にどれくらい効果があるかという科学的根拠が確認されている画期的な薬だ。
 
ルビプロストンは上皮機能変容薬と呼ばれ、今回のガイドラインで推奨度が最も高いランクに評価されている。
小腸に働きかけて水分の分泌を促すことにより、便を軟らかくして自然に排出しやすくする。
慢性便秘症の患者242人が、ルビプロストンを1日48μg(2カプセル)、4週間服用した臨床試験では、プラセボを服用したグループと比べて24時間以内に自発的な排便が有意に増加し、硬便やいきみなどの症状も有意に改善した。
また、48週間飲み続けても効きにくくなることはなく、効果が持続するという臨床試験の報告もある。
 
注意点として、ルビプロストンは妊婦には使用できない。
また、「若い女性では吐き気が起こることがある。
ただ、高齢者には起こりにくいため、酸化マグネシウムを使いにくい高齢者には有効性が高い薬だ。
 
なお、上皮機能変容薬にはルビプロストンのほかに、2017年3月に登場したリナクロチド(商品名:リンゼス)という薬がある。
現在リナクロチドは、過敏性腸症候群の便秘型に限って使われているが、2017年9月に、新たに慢性便秘症に関する効能・効果追加の承認申請が行われており、承認されれば、慢性便秘症の患者にも使うことができるようになる見込みだ。

普段は「便を軟らかくする薬」、つらいときは「刺激性下剤」
では、これらの薬を医師はどのように組み合わせて使うのだろうか。
普段はルビプロストンや酸化マグネシウムなどの便を軟らかくする薬を使い、便が出なくてつらい時だけ刺激性下剤を飲むことが勧められる。

治療のゴールは、熟したバナナくらいの軟らかさと形の便になることだ。

肛門は鼻や口と同じくらい繊細な感覚臓器だ。
そこに便のかけらが残ると強い不快感が出る。
 
反対に、水のような便になればすべて出るのだろうか。
水のような状態の便を出そうとすると、下に出ると同時に上にも逆流して残ってしまう。
下痢のときに何度もトイレに行くのは、水状の便は一気に出すことができないためだ。
 
硬すぎず軟らかすぎない理想の便になることで、すっきりとした排便が可能になる。
上手な薬の組み合わせで便秘をコントロールすれば、理想の便の硬さを保つことができる。

トイレを我慢し続けると、便意がなくなることも
生活習慣の改善、薬による治療に加えて、最後の仕上げとして必要なのが「我慢せずにトイレに行く」ということだ。
トイレに行くことを我慢していると、その状態に慣れて便意そのものがなってしまう。
便意がない人は女性や子どもに増えている。
便意を感じられなくなると、便が肛門あたりまできていても便が出ない。
患者さんの中にはウォシュレットなどで刺激して出す人もいる。
浣腸や病院で便をかき出す処置を行うと、肛門を傷つけて便の感覚がさらになくなってしまう。そ
うなる前に、トイレを我慢しすぎないことも大切だ。

私的コメント;
「浣腸や病院で便をかき出す処置」を希望される方は多くの場合、診療所間終了間際に来院されます。
羞恥心が手伝ってのことと思われますが、「翌日出直してください」ともいえないためナースを始め職員全員が残業することになります。
保険請求上、処置料もまったく算定できないため「あまり歓迎されない患者さん」です。
 
トイレに行ったら、前かがみの姿勢をとると便が出やすくなる。
ロダンの彫刻「考える人」のようなポーズをイメージしよう。
普段、直腸は肛門の手前で大きく曲がっているため便が出にくいようになっている。
座って前傾姿勢をとると、直腸から肛門までがまっすぐになり、おなかにも圧がかかりやすくなる。
 
便秘は命にも関わり、生活の質を大きく左右する。
重症化する前に適切な治療を受けることが重要だ。
症状を隠したり、市販薬だけに頼ったりせず、一度病院で相談してみてはいかがだろうか。
すっきりした排便で快適な生活を手に入れよう。

参考・引用 日経Gooday 2018.2.4



初の便秘「診療ガイドライン」まとまる 解消に効果とされた食物繊維やヨーグルトが実は・・・

https://www.sankei.com/premium/news/171202/prm1712020009-n1.html
人知れず悩む人も多い便秘。日本ではこれまで便秘は病気とみなされず、医療機関を受診しても、効果的な治療がなされないことも少なくなかった。そんな現状を変えようと、消化器内科医らで組織する「慢性便秘の診断・治療研究会」が、日本初となる便秘のガイドライン「慢性便秘症診療ガイドライン」を作成した。これで便秘の悩みがすっきり解決、といくか-。
「患者」は1千万人以上
 厚生労働省の国民生活基礎調査(2013年)によると、便秘に悩む人は60歳までは男性よりも女性が多いが、加齢とともに男性の有病率も増加、80歳以上では男性が女性を上回る。高齢化が進む中、日本の便秘「患者」は1千万人以上いるとみられている。
 ガイドライン作成メンバーで、横浜市立大大学院医学研究科・肝胆膵消化器病学教室の中島淳教授は「『便秘なんてたいしたことない』と思う人も多いが、とんでもない。中でも高齢者の便秘は、命にかかわることが最近の研究で分かってきた。また、ただの便秘と思っていたら、実際は大腸がんなどの病気が隠れていることもある。高齢化の進展で便秘患者はさらに増えるとみられるだけに、診断・治療体制を整える必要があった」と説明する。
 とくに最近、医療機関で問題となっているのが「宿便性腸穿孔(せんこう)」の患者の増加だ。これは、便秘で硬くなった便が原因で腸に穴が開く病気。かつてはごくまれにしか見られなかったが、高齢者の便秘の増加で多くの病院で対応を迫られるようになっているという。

排便困難や残便感
 そもそも便秘とはどういう状態をいうのか。
 日本内科学会は「3日以上排便がない、または毎日排便があっても残便感がある場合」としていたが、ガイドラインでは「本来なら体外に排出すべき糞(ふん)便を、十分量かつ快適に排出できない状態」と定義。そのうえで、大腸がんなどの病気による大腸の形態的変化を伴わないもので、排便困難や残便感があって困っている場合治療が必要だ、としている。
 便秘に悩む人の中には「毎日排便しないといけない」と思っている人も少なくないが、週に3回程度の排便でも、腹痛や腹部膨満感、残便感などがなければ問題はない、ということだ。
 さて、便秘を診断する上で、大事な要素となるのが便の形だ。便の形状は「ブリストルスケール」という分類で7タイプに分けられている。英ブリストル大学が1997年に開発した分類だ。
 このガイドラインでは「1」(コロコロした便)と「2」(ソーセージ状だが硬い便)を便秘の便としている。
 ちなみに分類では次第に便が軟らかくなり、「6」(泥状の便)と「7」(水様の便)に至っては下痢になる。

快便法知り予防
 便秘の原因は多岐にわたるが、加齢とともに便秘が増えるのは、運動や食事の量が減るのに加え、病気になったり薬を服用したりする人が多いことも関係している。
 病気ではパーキンソン病やレビー小体型認知症、進行した糖尿病が、薬ではがんの痛み止めに使うオピオイドや鬱病の治療薬が、高頻度に便秘を起こすことが知られている。
 60歳以下の女性の場合は、ダイエット経験がある人や昼食摂取が少ない人ほど便秘が多い。
 一方、快便の人に共通してみられる生活習慣として、女性は「一口の咀嚼(そしゃく)回数が30回以上」、男性は「1日当たり1500ミリリットル以上の水分を摂取」を指摘する研究がある。
「弱い推奨」
 ところで、便秘の治療といえば、「適切な食事と運動」など生活習慣改善を思い浮かべる人は多い。中でもヨーグルトなどのプロバイオティクスや食物繊維の摂取、腹壁マッサージは、手軽にできる便秘対策としてよく知られている。
 ところが、ガイドラインでは、これらの方法は、積極的に勧めるほどでない「弱い推奨」にとどまっている。
 しかも、食物繊維については、「過剰摂取は便秘を増悪(ぞうあく=悪化)する」とし、多く摂取すればいいというものでもないようだ。もっとも、不足している場合の摂取は「効果あり」としているので、適量であることが大切ということのようだ。

さらに運動や腹壁マッサージも、科学的根拠のレベルは低い、としている。コストがかからず副作用もないので、中島教授も「やらないよりはやった方がいい」とするが、「プラス効果はあまり期待できない」とのことだ。
 他に大黄やセンナ、アロエなどの生薬は、飲み続けると大腸にトラブルをきたすことから、ガイドラインでは「長期間の使用は避けるべき」としている。
では、治療法は?
 科学的根拠がある治療法としては、12年に約30年ぶりに保険適用となったルビプロストン(上皮機能変容薬)などの処方薬を挙げている。
 中島教授は「便秘はあらゆる診療科の患者さんにかかわる病気。ガイドラインによって、すべての医療機関、あらゆる診療科で適切な対処ができるようになってほしい」と期待を寄せている。

参考・引用
産経ニュース 2017.12.2
https://www.sankei.com/premium/news/171202/prm1712020009-n1.html



帯状疱疹、広がる選択肢

帯状疱疹、広がる選択肢 腎機能低い人ものみやすい新薬

痛みを伴い帯状に発疹や水ぶくれができる帯状疱疹。
重症化すると、発疹が治まっても激しい痛みが続くこともある。
1日1回のめば良い新たな薬が昨年、承認された。
50歳以上には予防ワクチンの接種もできるようになり、治療や予防の選択肢が広がっている。

ある女性(57)は昨年12月、右頬に押さえつけられるような痛みを感じた。
口の周りに発疹ができ、頭痛もした。

別の病気で通院していた、某大学病院の皮膚科を受診すると、帯状庖疹と診断された。
医師は、抗ウイルス薬・アメナリーフ(一般名アメナメビル)を処方。
1日1回2錠を1週間のむと、 発疹は広がらずにかさぶたになり、10日ほどで治った。
「思っていたよりも早く治ってほっとした。薬も1日1回で楽だった」と女性は話す。

帯状態疹は、水痘帯状疱疹ウイルスによって起こる。
このウイルスに初めて感染すると水ぼうそうになり、全身に発疹ができる。
発疹が消えた後もウイルスは体内の神経の根元に潜み、加齢や強いストレス、疲労により免疫力が落ちると再び活発になり発疹などを引き起こす。

患者は50歳ごろから増え、60~70代が多い。
80歳までに3人に1人が発症するとされる。

水ぼうそうにかかったことのある人はだれでも発症する可能性がある。
 
発症すると胸や背中、顔など体の片側の一部にヒリヒリとした痛みが出て、数日後に赤い発疹や水ぶくれが帯状に出る。
治療には、ウイルスの増殖を抑える抗ウイルス薬を使う。    

従来の薬は、1日3回2錠ずつのむタイプで、成分が腎臓を通って尿から排出される。
腎臓の機能が落ちた人に使う際は薬の量を調節する必要があった。
 
女性がのんだアメナリーフは昨年7月に承認された新しい薬。
ウイルスが増える際に必要な酵素の働きを妨げて増殖を抑える。
1日1回2錠でよく、主に肝臓で代謝され便として排出されるので、腎機能が低くても薬の量を調節する必要はない。
腎臓の血流低下を起こすことがある痛み止めの薬との併用もしやすい。   

患者さんの負担が減り、のみ忘れも少なくなる。
高齢者は腎臓の機能が低下している人も多く、治療の選択肢が広がった。
 
発疹が治まっても、炎症によって神経が傷つき、痛みが慢性化することがある。
「帯状庖疹後神経痛」と呼ばれ、高齢者や皮膚の症状が重い人ほど痛みが残りやすい。
長いと1年以上続き、夜眠れないほどの痛みや服が肌に触れるだけで感じる場合もあるという。
 
早く治療を受ければ、重症化したり神経痛になったりしにくくなる。
体の片側に普段と違う痛みが続き、発疹が出てきたら早めに皮膚科を受診したい。

50歳以上 予防接種も
予防に向けた動きもある。
厚生労働省は2016年3月、主に子どもの水ぼうそう予防に使われてきたワクチンの効能に、50歳以上に対する帯状庖疹の予防を追加。
患者の多い50歳以上の人が、予防接種できるようになった。
 
専門家によると、大半の大人は水ぼうそうの予防ワクチンを打ったことがなく、自然に感染しており、ワクチンの効果が期待できるという。

同様のワクチンが販売されている海外のデータでは、ワクチンを接種することで、帯状庖疹の発症を半分ほどに抑えられる。
発症しても、後に帯状庖疹後神経痛になるリスクを6割ほど下げられるという。
 
ただし接種にかかる費用は自己負担で、1回8千~1万円ほど。
抗がん剤やステロイド、免疫抑制剤をそれまでに使い、免疫が下がっている人には打てない。
 
ワクチンを打つことで、たとえ発症しても症状が軽く済む。
痛みや後遺症のことを考えれば、50歳になったら接種を検討したい。
 
ワクチンは、皮膚科や内科などの医療機関で接種できる。
希望する場合は、かかりつけ医に相談するとよいという。   

参考・引用
朝日新聞・朝刊 2018.2.14

免疫力アップでがん予防

免疫力アップでがん予防

戦前と戦中、日本人の死因のトップは結核だった。
しかし、2016年の死亡数は1889人で、死因順位では28位に過ぎない。
結核による死亡が減ったのは「ストレプトマイシン」のような抗生物質が普及したからではない。
栄養状態が改善して免疫力がアップし、結核にかかる人が激減したことが主な原因と思われる。

私的コメント
このことについては異論も多いかと思います。

結核に代わり、戦後しばらく日本人の死因のトップだった脳卒中も1970年代以降は減少に転じる。
これも、喫煙率の低下、減塩などの他、十分な動物性タンパクの摂取によって血管が強くなったことが背景にあると思われる。

私的コメント
このことについても異論が多いかと思います。

結核と脳卒中は「途上国型」の病気といえるだろう。
 
一方、がん死亡は戦前から現在にいたるまで一貫して増え続けている。
81年には死因のトップに躍り出て、16年の死亡数は37万2986人と、85年の約2倍になった。
現在、がんは死因全体の3割を占め、2位の心疾患の約2倍、3位の肺炎の約3倍にも上る。
 
がんの急増の理由は急速な高齢化にある。
がん細胞は遺伝子の「経年劣化」によって、正常な細胞が不死化したものだ。
毎日体内に発生するがん細胞は年齢とともに増えていくが、免疫細胞が未然に撃退している。
これを「免疫監視機構」と呼ぶが、免疫力も年齢とともに衰えていく。
サッカーに例えればキックオフとともに相手の選手の数が増え、見方の守備力が疲弊していくようなものだ。
がんは一種の老化といえる病気だから、年齢とともに急増する。
 
男性は生涯でがんになる人の割合は6割を超えるが、55歳までは5%程度にすぎまない。
しかし65歳までだと15%、75歳まででは3割以上となる。
定年前後からがんのリスクが急増する。
 
国民病ともいえるがんだが実は、年齢構成をそろえた「年齢調整死亡率」は90年代後半から減り続けている。
もっとも人生100年を見据えて長く働く時代だから、「高齢化の影響を除けば、昔よりがん死亡は減っている」といってもナンセンスだ。
 
昔より遠くなったセカンドライフをハッピーにするためにも、がんを防ぐことが大事になっている。

参考・引用
日経新聞・夕刊 2018.5.23
(執筆 東大 中川恵一准教授)

抗原を攻撃 研究次々

抗原を攻撃 研究次々

がんの治療といえばこれまでは、手術、抗がん剤治療、放射線治療の三つだった。
最近、これに免疫療法が加わりつつある。
 
免疫細胞は、ウイルスや細菌など外敵から身を守る。
体の中の異物であるがん細胞を免疫細胞の力でやっつけようとするのが、がん免疫療法だ。
 
人間の体は、過去に侵入したウイルスなどの異物を覚えている。
再び侵入したときに、免疫細胞の「Bリンパ球」と「Tリンパ球」が相手が持つ特定の目印「抗原」をめがけて攻撃する。
1960年代に米国のマックス・クーパー、豪州のジャック・ミラーの両博士がその役割を明らかにした。
 
以前もこうした免疫細胞を使った治療が試みられてきたが、うまくいかなかった。
最近、問題を解決する新たな手法が次々と開発された。
日本人による研究が大きく貢献している。
 
免疫を抑制する制御性T細胞があることを大阪大の坂口志文氏が、T細胞表面に活動を抑えるブレーキ役となる分子を京都大の本庶佑氏がそれぞれ見つけた。
そうした研究をもとに治療薬も開発され、ノーベル賞級の業績といわれている。

参考・引用
朝日新聞・朝刊 2018.5.16