がん治療、遺伝情報でオーダーメイド

がん治療、遺伝情報でオーダーメイド 保険適用めざす

日本人の死因1位で、年間新たに約100万人が診断されるがんのオーダーメイド型医療を国が推進している。
国立がん研究センター中央病院は来月にも、個人ごとに最適な治療をするため、患者の遺伝情報(ゲノム)を検査する「がんゲノム医療」を先進医療に申請する。
認められれば一部で保険がきくようになる。
他にも複数の施設が申請を準備中で、国は2019年度中の保険適用をめざしている。

がん細胞の遺伝子100種以上を網羅的に調べ、どの遺伝子に異常が起きているかを突き止め、変異に応じて薬などを使い分ける方法。
個々の患者のがん細胞の特徴に合う抗がん剤を使うことができ、より効果的な治療ができるようになると期待される。
検査は数十万円かかり、一部の施設で臨床研究や自由診療で実施されてきた。
中央病院は年明けに厚生労働省に申請。同省の有識者会議の了承を得て来年度の早い時期の実施をめざす。第一号となる見込み。
 
細胞内の遺伝子がコピーされる過程などで、何らかの異常が起きると、がん細胞が生まれる。
ゲノム医療は、患者のがんや正常組織から細胞を採り、次世代シークエンサーと呼ばれる専用の機械で検査して遺伝情報を読み込む。
複数の専門家が、情報をもとに治療法の中から最適なものを選定する。
これまでの臓器ごとから、遺伝子の変異ごとに異なる治療法へと選択肢が大きく広がる。
 
中央病院の計画では、対象は再発や病状の進行などで標準的な治療を受けられない患者。
117種類の関連遺伝子を網羅的に調べ、原因となった変異を探す。
遺伝性だとわかり、患者の希望があれば家族へのカウンセリングも実施する。
 
政府が10月に閣議決定した第3期がん対策推進基本計画には、がんゲノム医療の普及のため拠点病院を整備する方針が盛り込まれた。
このがんゲノム医療ができることが、厚労省が17年度中に選ぶ12施設ほどのゲノム拠点病院の要件の一つになる。
拠点病院と連携する病院を全都道府県で指定し、今後これらも先進医療に加わる見通しだ。
 
ただし変異が見つからないとか選定された治療法が国内で受けられない、遺伝情報による差別が生まれるといった新たな課題も指摘されている。

先進医療 
公的医療保険の対象外で患者の全額自己負担となる医療技術について、保険診療との併用を認める制度。
がんゲノム医療の場合、遺伝子検査の技術費用は自己負担になるが、それ以外の診察や検査に保険が適用され、患者の負担は軽くなる。
厚生労働省が一定の施設基準を設定し、基準を満たした医療機関の届け出を認める。
公的保険の対象とするのが妥当かを評価するため、定期的に施設からの報告を求める。

参考・引用
朝日新聞・朝刊 2017.12.26

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