赤ちゃんの舌 大人と違う

赤ちゃんの舌 大人と違う

舌を上げてみると、真ん中に膜のような筋が見える。
口の底と舌の先端をつなぐ「舌小帯」だ。
筋状の部分は舌を前に出したり、後ろへ動かしたりするのを調整する役割を持つといわれる。
 
一見すると、舌小帯で舌が引きつれて、動きが妨げられていると思うかもしれない。
問題があるとすれば、舌小帯が太くて短い「舌小帯短縮症」と呼ばれる状態だ。
舌を前に突き出すと舌の先端にくびれができて、ハートの様な形になる。
この状態だと上手に哺乳できなかったり、発育の時期に滑舌や発音、食事の摂取に支障が出たりする。
 
新生児の舌小帯は舌の先端近くまで付着している。
成長とともに引き伸ばされて、付着部位も舌の中程まで下がってくる。
成長による変化が少ないと舌小帯が短く太いままとどまって、舌小帯短縮症となる。
 
見極めるには大きく口を開けて、舌の先を上あごに着けるように持ち上げてみるとよい。
舌の先が口の縦の幅の半分より上まで上がれば軽度、半分より下なら中等度、下あごの歯の高さまで上がらなければ重度と判定する。
一般的に中等度以上で哺乳や食事、夕行・ラ行の発音に支障をきたすときに治療を検討する。
 
治療は舌を動かすトレーニングと、舌小帯のヒダを切る手術がある。
新生児や乳児の舌小帯短縮症はかつては切除の対象とされていた。
近年は、成長に伴って舌小帯が変化するため、構音障害や哺乳障害の直接的な要因にはならないとの考え方が広がっている。
 
舌小帯短縮症の治療は小児歯科や口腔リハビリテーション科、歯科口腔外科、耳鼻咽喉科などで医師や歯科医師、言語聴覚士が担当する。
医療機関ごとに役割が異なるので、受診する場合はあらかじめ問い合わせるとよい。

執筆;
国立病院機構東京医療センター歯科口腔外科医長・大鶴 洋先生
参考・一部引用
日経新聞・朝刊 2017.10.28


関連記事
赤ちゃんの舌小帯短縮症、発音に影響でないか?
1歳の息子。生後2カ月の時、耳鼻咽喉科で舌小帯短縮症と診断されました。哺乳や食事に支障はないものの、成長してから発音に影響が出ないか不安です。医師からはひどい場合は手術も可能と聞きましたが、必要でしょうか?

■答える人 宮新美智世さん 東京医科歯科大学准教授(小児歯科)
Q どんな病気ですか。
A舌の下側と口の底をつなぐ薄いひも状のものが舌小帯で、乳児期は大人に比べて厚くて短い状態です。
成長に伴って舌の動きが巧みになり、舌小帯も薄くなって伸びますが、何らかの理由で短いままの状態が短縮症です。

Q 生活への影響は。
A かつては母乳がうまく吸えないなど哺乳障害との関係が疑われましたが、現在は否定的な見方が多いです。舌を前に出した時、舌先の真ん中がくぼんでハート形に見えるので、「ハート舌」と呼ばれることもありますが、元々先端がくぼんだ形の人もいるので、形だけでは診断しません。
舌がどれぐらい動くかなど舌の機能で判断します。

Q 発音について心配されていますが。
A 子どもが正確な発音を身につけるのは5歳ごろです。
発音に問題があり、舌小帯が原因と判断された場合は治療対象になりますが、頻度は高くありません。
また5歳以降に治療を受けた上で、発音の訓練を始めても有効だという報告も複数あります。
5歳まででも心配があれば言語聴覚士に相談してください。

Q どんな治療ですか。
A 手術で舌小帯を切って伸ばし、癒着を避けるために縫合します。
周辺には傷つけたくない唾液腺や血管が存在し、形成術や粘膜移植など全身麻酔が必要な症例もあり、低年齢ほど負担です。
相談者のお子さんは1歳で、これから舌小帯が伸びる時期を迎える上、発音に問題がないことも多いので、成長を見守ってあげてください。

子どもの発音の問題
発音に問題を抱える子どものうち、生まれつき口の天井部分に隙間があるために空気が鼻に漏れる「口蓋裂」など手術が必要な原因がある子どもは、それほど多くありません。
記舌小帯短縮症で、発音に問題が生じて手術が必要となるケースも頻度としては高くありません。

発音に問題を抱える多くは、原因がはっきりせず、舌や口の使い方に誤った発音の癖が付いてしまったケースなどが考えられます。
4~6歳で100人に2~4人程度の頻度といわれています。
 
横浜市総合リハビリテーションセンターによると、適切な時期に発音の訓練をすれば改善されるとして、言語聴覚士らへの相談時期の目安を紹介しています。
 
▼発音の特徴と相談時期の目安
・「カ行がタ行になる」「タ行がカ行に」→3歳後半
・「サ行がタ行やシャ行に」「シャ行がチャ行」→4歳後半
・「ラ行がダ行に」→4歳後半

* 鼻に抜けたような発音は、すぐに相談

参考・引用一部改変
朝日新聞 2018.9.14


<関連サイト>
「舌小帯短縮症と発音障害」
http://www.okuchidetaberu.com/colum/no15.html


舌小帯短縮症の考え方
http://www.tmd.ac.jp/dent/pedo/cn5/pg138.html

舌小帯短縮症に対する手術的治療に関する現状調査とその結果
https://www.jpeds.or.jp/modules/guidelines/index.php?content_id=85

小児における舌小帯短縮症の手術時期の検討
https://www.jstage.jst.go.jp/article/poms/21/1/21_69/_pdf/-char/ja
(専門医向けの論文です)

乳児血管腫

皮膚にできる赤いあざ 乳児血管腫に飲み薬登場  治療の選択肢広がる

乳児血管腫は新生児の皮膚の表面や内部に赤いあざができる病気だ。
つぶつぶがある外観から「いちご状血管腫」とも呼ばれる。
日本人の100人に1人程度が発症するとされる。
赤みは自然に薄れることが多いが、部位などによっては発達に悪影響を与え、皮膚のたるみや痕が残ることもある。
従来のレーザー照射療法などに加え、最近は乳児期でも飲みやすく効果的な内服薬が登場し、治療の選択肢が増えている。
横浜市に住む30代の主婦は出産後に退院して5日ほどで、長女の目頭と鼻のあたりに内出血のような赤みがあるのに気づいた。
 
赤みは日に日に大きくなり、不安にかられて生後1カ月検診でかかりつけの病院で相談した。
紹介された神奈川県立こども医療センターを訪ね、乳児血管腫と診断された。

乳児血管腫は生後半月程度で現れ、1歳ごろまでに急速に大きくなる。
赤みは5歳から7歳までの間で少しずつ自然に消えていくが、多くの場合は痕が残るという。
治療をせずに自然に小さくなるのを待つか、治療に踏み切るかどうかは医師が判断する。
 
乳児の多くが経過観察となるが、目や耳に近いところに病変がある場合は、視力や聴力に影響を与えることがある。
鼻や口、首に近い場合は、気道や食道を圧迫して呼吸や食事(哺乳)を妨げたりする。
こうした場合は治療を選ぶ。

増殖抑える効果
これまではレーザーを当てて赤みを改善させるなどの手法が主流だったが、2016年9月に国内初の内服薬が登場した。
それが製薬企業、マルホ(大阪市)の「ヘマンジオルシロップ小児用0.375%」だ。
乳児血管腫が小さいうちに早めに治療を始めた場合、増殖を抑え、消えるのを早める効果がある。
 
ヘマンジオルは1960年代から高血圧や不整脈の治療薬として広く使われてきた「プロプラノロール塩酸塩」を成分とする。
フランスの医師が乳児の血管腫にも効果があることに気づき、欧米などで14年から広く使われ始めた。
それを踏まえて「17年には日本で診療ガイドラインが改訂され、標準的治療として位置づけられた」(マルホマーケティング部)という。

副作用に注意
ただ、低血糖や心拍数の低下などの副作用が起きることがあるので、子どもに飲ませる際は保護者の十分な注意が必要だ。
同センターでは最低1週間、乳児の入院を保護者に義務付ける。
まずは通常より3分の1に減らした量を与え、段階的に増やす。
血圧、脈拍、呼吸数、血糖値を測り、副作用の有無を慎重に確認した上で退院後に処方する。
 
マルホは自社のウェブサイトで治療を受けられる全国の約150の施設を掲載している。
「副作用に備えて皮膚科だけでなく、小児科や循環器科などと連携がとれる体制が望ましい」(マーケティング部)と話す。
 
乳児は乳児血管腫の大きさがピークに向かう生後5週間以降、5カ月までに内服薬を飲み始めるのが効果的という。
服用期間は半年間から1年。
効果については個人差もある。
早く目立たなくなるが、跡形もなく消えることはない。

顔や首に多く発生
乳児血管腫は未熟な毛細血管が増殖して現れる新生児の良性腫瘍だ。
血管内皮細胞の異常で、出生時に体重の軽い子どもに多いとされるが、はっきりした原因は不明。
男女比は1対3で女児が多い。
マルホでは独自の調査結果から受診・治療が必要な患者は多くて年間7500人程度と見積もっているが、「正確な患者数を示す疫学データはほとんどない」ため、100人に1人程度というのも推測だ。
 
その理由として
^綮佞赤あざを確認しても年齢を重ねると治るという経過観察が主な対応だったため、専門医のいる医療機関の調査だけでは不十分
皮膚科や形成外科など診療科が施設によって異なる
J数の診療科の医師が情報交換する学会などの場が最近までなかった
――などを挙げる。
 
発生する体の部位では顔、首、頭が6割を占める。
皮膚表面だけでなく内臓にできることもある。
あざの大きさは様々で体の複数部位にできることがある。
乳児血管腫と診断するには問診や触診などのほか、さらに詳しく調べるためには画像や血液の検査などをする。
 
症状が収まったからと保護者側の判断で途中で治療をやめると、再び悪化してしまう可能性があるので注意が必要だ。

参考・引用一部改変
日経新聞・朝刊 2018.8.20


私的コメント
そもそも血管腫は英語ではhemangioma(ヘマンジオーマ) と言います。したがってヘマンジオルの名前の由来はこの言葉にあります。
プロプラノロールは以上50年前に開発された薬剤で私のような循環器専門医にとっては懐かしい部類の薬剤です。
参考
β遮断薬の歴史と今後 : アドレナリンの発見から超短時間作用型まで
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsicm/20/2/20_227/_pdf/-char/ja



<関連サイト>
ヘマンジオルサイト | 医療関係者向け情報 | マルホ株式会社
http://www.maruho.co.jp/medical/hemangiol/

ヘマンジオル シロップ小児用0.375% | マルホ株式会社
https://www.maruho.co.jp/medical/products/hemangiol/index.html

ヘマンジオルシロップによる治療 - マルホ
http://www.maruho.co.jp/medical/hemangiol/proper-use/cure/

乳児血管腫の治療法。プロプラノロールの適応と17の注意点。
http://pediatrics.bz/2017/02/hemangioma/

子供の夏風邪に注意

子供の夏風邪に注意

夏休みを迎えた子供たちに忍び寄る夏風邪。
安静にしていれば治るウイルス感染症が大半だが、今年は脳炎を引き起こすウイルスが多くみられ、注意を促す声もある。予
防法や症状の見分け方を知っておこう。
 
子供がかかりやすい夏風邪には、プール熱(咽頭結膜炎)やヘルパンギーナ、手足口病などいくつかある。症状には特徴があり、種類によっては重症化の可能性もある。
 
国立感染症研究所の調査によると、今年(2018年)はプール熱が6月から本格的に流行。
アデノウイルスによる感染症で、プールの水の塩素殺菌が不十分だった時代にプールで感染が広がったのが名前の由来だ。
38度以上の発熱やのどの痛み、目の結膜炎といった症状が出る。
高熱は5日前後続くこともある。
 
7月から8月にかけては、ヘルパンギーナと手足口病がピークを迎えようとしている。
 
ヘルパンギーナは熱が急に出て、口の中に水疱性の発疹ができる。
水疱は喉の奥にある口蓋垂の周りにもでき、破れると潰瘍になって、激しく痛む。
強い痛みが原因で、食べたり飲んだりするのが難しくなる。
 
手足口病でも口の中に水疱ができる。
名前の通り、手のひらや足の裏にも水疱ができて、発熱がみられることがある。水疱の皮は厚く破れにくく、歩くと痛むことも。
主にエンテロウイルスやコクサッキーウイルスによって発症する。
 
さらに今年は、手足口病の原因ウイルスとして「エンテロウイルスA71」と呼ばれる種類が多くみられることが分かってきたという。
 
エンテロウイルスA71は、脳炎を発症するリスクが高い。
脳炎を発症すると死に至ったり、まひなどの後遺症が残ったりする例もある。
同ウイルスが原因の脳炎は、2000年前後からアジアで流行するようになり、東南アジアや中国、台湾などで多数の死亡例が出たことで知られている。

この夏は例年にも増して特別な注意が必要といえるが、夏風邪を防ぐためにできることは冬のインフルエンザ対策と同じく、うがいと手洗いに尽きる。

外出から戻ったら、せっけんで手や指を30秒ほどこすり洗いするのを習慣にしよう。
 
特に妊婦や小さい子供のいる家庭では、細心の注意が欠かせない。
エンテロウイルスA71に感染しやすいのは0歳児で、特に3カ月未満で起こりやすい。
家族を通じて外からウイルスを持ち込まないように気を付けることが重要だ。
 
夏風邪にかかった場合は、対症療法が中心になる。
安静にして、解熱鎮痛剤などで症状を抑えながら回復を待つ。
ただし5日過ぎても症状が改善しなかったり、水分が取れないほど症状が重かったりする場合は、病院を受診したほうがよい。
 
夏風邪の発症時に欠かせないのが、脱水症状の予防だ。
特にヘルパンギーナと手足口病にかかると口の中が痛むため、つい水を飲むのを控えがちになる。
のどの渇きを訴えられない乳幼児は、尿の色が濃くなると脱水のサインだ。
体温並みに温めた経口補水液や、少量の塩を溶かした白湯などを飲んで、十分な水分を取りたい。
 
夏風邪は安静にしていれば治る病気だと軽視されがちだが、子供が保育園に通えなくなるなど、意外に影響は大きい。
くれぐれも手洗いとうがいを忘れずに、予防に努めよう。

参考・引用一部改変
日経新聞・朝刊 2018.7.21


<関連サイト>
子供の「夏かぜ」、流行る時期は?どんな病気?対処法や治療法も
https://sho.jp/topic/2257

プール熱(別:咽頭結膜熱)
https://medicalnote.jp/diseases/プール熱

手足口病(てあしくちびょう)・ヘルパンギーナ
https://medicalnote.jp/contents/160812-007-ZW

正しい鼻のかみ方

正しい鼻のかみ方

片足ずつ、ゆっくりと
鼻を強くかみすぎて、中耳炎になった経験をお持ちの方もいるはずだ。
正しい鼻のかみ方とは? 

正しい鼻のかみ方のポイントは、片方ずつゆっくりかんで、強くかみすぎないことだ。
子どもたちに鼻をかんでもらうと、両方の鼻を一気にかむ子が多い。
正しいかみ方は、意外に知られていない。
 
両方の鼻を一気にかむと、鼻の中の圧力がうまく逃げず、耳に負担がかかる。
細菌を含んだ鼻水が耳に入って中耳炎になったり、鼓膜が破れたりすることもある。
まれに内耳からリンパ液が漏れる「外リンパ瘻」という病気になり、突然のめまい、難聴を引き起こすこともある。
鼻水が詰まっているときは、無理に出そうとしないことが大切で、病院で治療した方が良いケースもある。
 
鼻水をすする習慣も、長く続けると鼓膜がへこみ、内側に耳あかがたまる「真珠腫性中耳炎」のリスクを高める。
耳の中の骨が溶け、聴力低下や顔面まひ、めまいを引き起こすことがある。
 
あるティッシュペーパーのメーカーは2016年、15歳以下の子どもを持つ母親1千人を対象に、正しい鼻のかみ方を知っているかインターネットで調査した。
「両方の鼻をいっしょにかむことが間違った方法だと知っているか」という設問に、31.5%の母親が「知らなかった」と回答した。
 
母親の4人中3人は「自身の親から鼻のかみ方を教わった」としており、同社広告宣伝部では「まずは母親が正しい鼻のかみ方を知ってほしい」と話す。
風邪や花粉症で鼻をかむ機会が多いときや肌荒れが気になる人は、保湿成分を含み肌への摩擦を減らしたタ
イプのティツシュがおすすめという。

花粉が多量に飛ぶ時期から薬を始めても効きにくい。
花粉症による鼻水を抑えるには、花粉の飛び始めの時期に早めに病院を受診し、自分に合った飲み薬や点鼻薬などの処方を受けたい。   

参考・一部改変引用
朝日新聞・朝刊 2018.1.20

子どもを熱中症から守る

子どもを熱中症から守る

汗をかく機能が未熟な子どもは、大人より熱中症になるリスクが高いという。
どのようなことに注意したらよいのだろうか。

顔色・熱・・・異変チェック
消防庁によると、6月に熱中症の疑いで救急搬送されたのは約4千人で、昨年(2017年)の2倍以上。
気象庁の予報では、7~9月は沖縄・奄美地方を除いて全国的に平年より気温が高くなりそうで、今後も注意が必要だ。
 
小中高校生は、運動中に熱中症になるケースが多い。
日本体育協会によると、部活動を始めたばかりの1年生や、休み明け、合宿の初日などは要注意だ。
体が暑さに慣れていないためで、運動量は急に増やすのでなく、少しずつ慣らす必要がある。
「運動中は水分をとりたい時に、とりたいだけとれる環境を作って」と同協会。
自由にとれる環境に置けば、子どもは自発的に発汗量に見合った水分をとるという。
 
熱っぽい、食欲がない、おなかの調子が悪いといった時は、運動を休ませる。
運動を見守る大人の側からも、声かけが必要だる。
 
子どもは、なかなか自分から不調を訴えない。
会話がない、笑顔がない、反応がにぶいなどの様子を見せたら気をつけよう。
「大丈夫?」と聞くと「大丈夫」と答えてしまうので、「どうしたの」と聞くとよい。
 
熱中症を疑う症状が出たら意識があるかを確認して、体を冷やす。
病院へ行く場合はスムーズに治療できるよう、具合が悪くなった時の状況を説明できる人が付き添う。
病院へ行かずに済んでも当日は運動をさせず、少なくとも翌日まで経過を見よう。

乳幼児 特に注意
乳幼児の場合、車への閉じ込めに特に気をつけたい。
日本自動車連盟(JAF)によると、昨夏、車内に残された子どもが誤って車をロックしてしまい、熱中症を疑う症状などが出て、緊急対応をするケースが相次いだ。
JAFが実施した2010~11年のインターネット調査では、回答者(有効回答約7千人)の約3割に、子どもを残したまま車を離れた経験があった。
 
JAFの実験では、気温35度の晴れた日にエンジンを切ると、窓を3センチ開けておいた場合や、フロントガラス部分にサンシェードを置いた場合でも、車内の温度は30分後に40度を超えた。
JAFは「たとえ短時間でも、車内には絶対に残さないで」と呼びかける。
 
乳幼児は暑さに特に弱く、体調不良を言葉で伝えられない。
大人が注意するしかない。
日常生活で汗が多い、顔が真っ赤、尿が少ないなどの症状が出たら注意する。
外出時は風が通るようゆったりした服を着せ、帽子は時々脱がせて蒸れないようにしよう。
冷房の利いた屋内に入って休ませることも大切だ。

発汗機能が未発達
そもそも、子どもはなぜ暑さに弱いのか。
それは子どもは、汗をかく機能が未熟なためだ。
 
汗は蒸発する際に、体の熱を奪って体温を下げるが、発汗機能が未熟な子どもは、汗をかく量が十分でない。
 
気温が皮膚温を下回る時は、血液を皮膚にたくさん送って皮膚を温め、体の熱を温度差のある外気に逃がして、上手に体温を調節している。
しかし、気温が皮膚温を上回る真夏の暑さでは、この方法では体の熱を逃がせなくなる。
 
その結果、体温が上がってしまい、熱中症になりやすくなる。
 
熱中症の危険を予報で知るには、環境省が発表する「暑さ指数」がある。
気温に湿度や日差しの強さなどを加味して、危険度を数値で示す。
今年からメール配信サービス(通信料は各自が負担)をスタート。
環境省のホームページ http://www.wbgt.env.go.jp/mail_service.php にアクセスし、全国841の観測地から希望地点を選ぶと、運営会社を通じて1日に1回、予報が届く。

参考・引用 朝日新聞・朝刊 2018.7.6

子どもの鼻水

子どもの鼻水、どうしてる?

子どもが鼻水を垂らしている光景をよく見かける。
耳鼻科や小児科に行くと「鼻水を吸ってあげた方がいい」と言われることがある。
どんなときに「鼻吸い」は必要なのだろうか。
小児科医が、保護者の方から「何歳から鼻をかめるものですか?」と聞かれることもある。

大体5歳くらいになると多くの子が、自分でティッシュペーパーに鼻水を勢いよく出せるようだ。
早い子は2歳でもう、お兄ちゃんやお姉ちゃんの真似をして、上手に鼻をかめる子もいるし、遅い子は小学校に上がる頃にやっとかめるようだ。
 
そもそも鼻水はなんで出るのだろうか。
鼻水はウイルスや細菌が体の中に入ろうとした時に、体外に追い出す働きがある。
水のようにサラサラした透明の「水様性鼻汁」と黄色や緑色でドロドロの「膿性鼻汁」に分類できる。
膿性鼻汁には、血液中から出て来た白血球がウイルスや細菌と戦い、壊れたものやウイルスや細菌の死骸が混ざっている。
すすったりして鼻や喉に残ったままになっているのはいいことではない。
水様性・膿性鼻汁とも鼻水の中の炎症性物質が、喉を痛めることもあるかも知れない。
 
子どもに鼻をかむことを教えるのは案外難しいもので、「フンッってやってごらん」とティッシュペーパーを鼻に当ててかまようとしても、口で「フンッ!」と言うだけで鼻からは鼻水も息も出せないことが多い。拭いてあげるのでもいいのだが、だいたいの子は鼻を触られることさえ嫌がる。
上から押さえられるのが多分嫌なのだろう。
できることなら、眉間の方から鼻の穴に向かって両側から鼻を押さえて鼻水を押し出したいものだ。
それが無理なら、せめて出ているものを拭き取ろう。

ティッシュペーパーを4つに細長く折り、鼻の下に当てる。
下からティッシュを引っ張るとネバネバの鼻水は線のようになって取り去ることができる。

参考
鼻水を拭くことが楽しくなる魔法! 「お鼻スルスル」
http://cheersmama.jp/?p=1614

止まらない子どもの鼻水! 自宅でできる鼻水対策はあるの?
http://benesse.jp/kosodate/201601/20160129-1.html

赤ちゃんのズルズル垂れた鼻水をスッキリ拭き取る裏ワザ
https://matome.naver.jp/odai/2139894847104698201

鼻水・鼻づまりの原因診断とセルフ解消法5選
http://www.karadane.jp/articles/entry/news/006516/

ティッシュペーパーをちぎって、鼻血が出た時のように片方の鼻に詰める方法もある。
詰めていない方の鼻の穴に二つ折りにしたティッシュペーパーを当て、「それが外に飛び出るようにフンッってしてごらん」と言うと、鼻水ごと詰めたティッシュが出てきて成功することもある。
 
そんな説明がまだわからないくらい小さい子だったり、鼻水が水のように流れたりする場合は親が吸ってあげるしかない。
つまり、「鼻吸い」は子どもが自分で鼻をかめないときにはいつでもやってあげよう。
 
昔は子どもの鼻を親が口に入れて直接吸うことがあった。
よく考えたら風邪のウイルスが親にうつりかねず衛生的ではない。
 
今はドラッグストアに行くといろいろな種類の鼻水吸い器が売っている。
スポイト型だったり、ストローのようなもので吸い出したりするもの、電動型もある。
お子さんが小さいとなかなかゆっくり選ぶことができないかもしれないが、ネットで買うこともできる。
 
鼻水を吸った後に、鼻から血が出ることもある。
鼻や喉で炎症が起こっている時、粘膜が腫れて鼻水や痰が出るので少し触れたりくしゃみなどで擦れた時に出血したりしやすい。
すぐに止まれば問題ない。
やはり鼻水は溜めずに取り去ってあげよう。
 
鼻水が出る病気には、風邪以外にも副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎、そして季節によっては花粉症などがある。
色のついたドロドロの鼻水が出る場合には、抗菌薬を飲んだ方がいい副鼻腔炎かもしれない。
花粉症は、何度も花粉の時期を経験するとなってしまうことがあるので、乳幼児には少ないものの近年低年齢化している。

参考・引用
朝日アピタル 2018.2.6



<子どもの鼻水 番外編>
子どもは上手に鼻をかめないので、鼻が詰まって息苦しそうで、心配になってしまう。
子どもの鼻水にどう対処すればいいのだろうか。
 
透明でサラサラの水っぽいものから、黄緑がかった粘っこいものまで色々ある鼻水。
原因は、風邪やインフルエンザ、アレルギー、副鼻腔炎(蓄膿症)など様々だ。

サラサラの鼻水はアレルギーや風邪などが原因。
粘っこくて黄色や緑色がかったものは副鼻腔炎が原因と言われることが多いですが、例外もある。
必ずしも外見だけでは診断でない。
     
風邪でも、当初はサラサラしているのが粘っこく変化することがある。
病原体の細菌やウイルスをやっつける免疫細胞が鼻の粘膜に集まり、炎症が起きて粘膜がはがれ落ちるからだ。
 
原因を特定するには、鼻の粘膜の状態や体温、鼻水が続く期間のほか、インフルエンザの流行状況やスギ花粉の飛散状況なども合わせて考える必要がある。
原因によって、対応も変わってくる。
 
アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎は、抗アレルギー薬や抗生剤など薬による治療が主体。
 
一方、風邪の場合は特有の薬がない。
よく使われる抗ヒスタミン薬は、風邪の鼻水への効果は科学的にはまだ不明。
子どもは、脳の働きが抑制されて呼吸数が減るなどの副作用が出る恐れもあるので、なるべく使わない方がいい。
     
しかし、放置はよくない。
鼻水が鼻の中に長い間たまったままだと息苦しさが続き、ぜんそくなどを悪化させる恐れもある。
鼻がかめる子どもには1日に数回、鼻をかませよう。
 
鼻をかめない小さな子どもは、薬局などで売っている鼻水吸引器で鼻水を吸ってあげるといい。
粘り気が多いときは、入浴などで鼻の中が湿った状態のほうが吸いやすくなる。
耳鼻科や小児科で1日1回、吸引してもらうだけでも鼻の詰まりはだいぶ改善する。
 
風邪でも、鼻水が原因で頭が痛い、眠れない、母乳がうまく飲めないといった場合など、薬を使って症状を和らげてあげた方がいいこともある。

鼻水の出ていた子どもが耳を気にして触ったり、耳を痛がったりしたら要注意だ。
子どもは鼻の炎症から中耳炎が起きることが少なくない。
鼻と耳をつなぐ耳管が短く、機能も未熟なためで、難聴の原因にもなる。
小児科や耳鼻科で、鼻と同時に耳も診てもらおう。
    

子どもにこんな症状は?
⬜︎ 鼻水がたくさん出る
⬜︎ 頭が痛そうにする
⬜︎ 鼻が詰まり、寝苦しそう。ミルクも飲みづらそう
⬜︎ 鼻水に血が混じっている
⬜︎ 鼻水が1週間以上続いている
⬜︎ たんがからんだせきが続く
⬜︎ 耳を気にして触る

の原因は風邪やアレルギー、副鼻腔炎など様々で、原因によって治療方針は異なる。
~ 風邪の場合、鼻水を止める薬を使わない方がいいが、こういった症状がある時は一時的に薬を使い、楽にしてあげよう。副鼻腔炎の時は抗生別を使うこともある。

多くの場合、鼻水が気になって何度も指を鼻の穴に入れ、内部が傷ついたのが原因だ。
風邪の症状が治まった後も1~2週間程度、鼻水が続くことがある。
副鼻腔炎とは限らない。
鼻水がのどに回ることが、せきの原因となることある。
鼻の炎症が原因で中耳炎が起きたのかもしれない。耳の検査もしてもらおう。



<関連サイト>
鼻水吸引器って使ったほうがいいの?
https://iko-yo.net/articles/866

鼻水の基礎知識
https://iko-yo.net/articles/866

子どもの鼻水、どうしてる?
https://www.asahi.com/articles/SDI201802052399.html

止まらない子どもの鼻水! 自宅でできる鼻水対策はあるの?
http://benesse.jp/kosodate/201601/20160129-1.html

鼻水、鼻詰まり
https://www.med.or.jp/clinic/sick2010_hanamizu.html
(日本医師会監修のHPです)

子どものみみ・はな・のどの病気 Q&A
http://www.jibika.or.jp/citizens/handbook/hana.html
(日本耳鼻咽喉科学会監修のHP)

授乳中の薬、大丈夫?

授乳中の薬、大丈夫? 母乳のメリット考慮し科学的に影響評価

授乳中に病気になり、薬を飲んでも大丈夫なのか心配する人は多い。
母乳の代替として人工ミルクもあり、「服薬するなら授乳をやめる」という選択もある。
ただ、母乳育児は大きなメリットがあることから、不必要に授乳を中断することがないよう、授乳中の服薬による赤ちゃんへの影響について科学的な評価が行われている。
 
添付文書で禁止7割
母乳は人工ミルクに比べ、栄養面や経済面などでの多くのメリットや、乳児の感染症予防効果などがあることが分かっており、厚生労働省も母乳育児を支援している。
 
ただ、授乳中の母親に薬を飲む必要が出たとき、日本では簡単に母乳をやめてしまう傾向がある。
母乳を通して薬が赤ちゃんに影響を与えることを心配してか、なるべく薬を使いたくないと思う母親は多い。
また、治療にあたる医師や薬剤師で対応が異なることがあり、母親が混乱する一因となっている。
 
医療従事者間で服薬と授乳への判断が異なる一因として挙げられるのが、医薬品の添付文書の記載だ。
添付文書では、妊産婦の場合と同様、授乳中の女性の服用に慎重な記載が多い。
大分県の小児科医や産婦人科医、薬剤師らが平成21年に結成した「『母乳と薬剤』研究会」が調べたところ、約700の医薬品中、7割に「授乳中止」と記載されていた。
 
不使用でデメリットも
抗インフルエンザウイルス剤「タミフル」もその一つ。
母親が飲んだタミフルは母乳中に移行することが分かっており、この母乳を飲んだ乳児の詳細なデータがない。
授乳中にタミフルを飲んでも大丈夫といえる明確な根拠がない以上、授乳時の服用は避けたい。

タミフルに限らず、動物での実験などで成分が母乳に移行するとのデータがある場合、添付文書で「授乳中止」や「授乳を避けさせること」としているものは多い。
ただ、母乳中に移行する薬の量は非常に少ないことが知られ、中には添付文書に授乳中止とあっても、授乳を続けても問題ない薬もある。
お母さんが薬を使わないことで起こるデメリットもある。
薬を飲んでお母さんの体調を安定させることが、実は赤ちゃんの健康にも役立つことが多い。
 
医師と相談し判断を
授乳中の薬の使用に関して国内外の最新の医学的研究報告に基づいて評価し、「授乳中に安全に使用できると思われる薬」として紹介しているウェブサイトがある。
薬の治療が必要な場合に授乳をどうするかは、医師と母親が十分に相談して決めていくことが大切。
サイトの情報は、あくまでも母親が母乳を継続するかどうか判断する材料の一つにしたい。
 
大分県の研究会も、同センターや米国小児科学会の評価などをもとに独自に評価した内容を医療従者向けのハンドブックにまとめている。
東京や大阪など全国の医療機関から注文が寄せられる。

使用経験など考慮し記載を 厚労省が新たな「要領」
厚生労働省は昨年6月、医薬品の添付文書について、より理解しやすく活用しやすい内容とするために新たな「記載要領」を定め、都道府県に通知。
授乳婦に対する注意事項の設定に当たっては、成分が母乳に移行することだけでなく、薬理作用などから推察される授乳中の赤ちゃんへの影響や臨床使用経験などを考慮し、必要な事項を記載するよう求めている。実施は平成31年4月から。すでに承認されている薬は36年3月末までに改訂する。

参考・引用
産経ニュース 2018.5.8

赤ちゃんの股関節脱臼

赤ちゃんの股関節脱臼、見逃し注意 コアラ抱っこ推奨も

赤ちゃんの股関節は柔らかく、生まれたときに脱臼していたり、発育の過程で脱臼したりすることがあります。
最近は、数が減っている半面、発見が遅れるケースも目立っているようです。
保護者は何に注意すればいいのでしょうか。

赤ちゃんの股関節脱臼は、早期に見つければ、装具で固定する治療で多くは治る。
しかし、脱臼していても痛がるわけでも、脚が動かないわけでもないので、気付きにくい。
治療が遅れ、股関節が外れた状態で成長が進むと、入院治療や手術が必要になる。
大人になっても股関節の疾患など影響が残ることもある。
 
多くは、骨格や関節の柔らかさなど身体的な要因に、出生後の環境が重なって生じるとされる。
赤ちゃんの脚は、M字の形(カエルの脚のかっこう)に開いているのが自然な状態。おむつや衣服による締め付けや不自然な抱き方などで「脚がまっすぐ伸びた状態」になることが脱臼の要因になる。
 
日本小児整形外科学会などによると、1970年代以前は珍しくなかったが、予防の啓発や脚が動かしやすい紙おむつの普及で10分の1に激減。
発症の割合は千人に1~3人になったという。
 
ただ、3~4カ月健診で多くは見つかっていたが、近年は発見が遅れるケースが目につくという。
 
一般的に、望ましい治療の開始時期は、「遅くとも生後6カ月」とされる。
同学会が2011、12の両年度、大学病院や小児病院、療育施設などを対象に全国規模で調べたところ、脱臼していた1295人の事例のうち、15・3%にあたる199件が、1歳以上での診断だった。
この2割近い37件は医療機関で一度は脱臼が見落とされていた。
 
症例が減って、乳児健診を担う医師や保健師の経験が乏しくなっている。
過去の病気という認識を改めることが重要だ。
 
全国調査では、女児や寒い季節の生まれに脱臼が多いことも顕著に表れた。
完全に脱臼していた事例の9割が女児。
出生月別では、10~3月生まれが7割を占めた。女児は関節が柔らかいため。
また、寒い季節に生まれると、厚めの衣服や布団によって脚を伸ばした状態になりがちで、発症が多くなるという。

家族は、何に気をつければいいのだろうか。
 
寝返りを始める生後6カ月ごろまでは、自由に脚を動かせるようにしておくのが基本。
外側から両脚を締め付けるような衣服の着せ方や、きついおむつは避けた方がいい。
抱き方は、M字の形に脚を開いた状態で赤ちゃんが親の胸にしがみつく格好になる「コアラ抱っこ」がおすすめ。
おくるみや、横抱き、スリング(だっこ用の布)は脚が伸ばされやすく、注意が必要という。
 
日本小児整形外科学会は、
仝ぐせがある、股関節が硬くM字の形に脚が開きにくい
⊇
2搬欧妨坿慇瓩悪い人がいる
さ媚劼農犬泙譴
ゴ┐っ楼茲箚┐せ棒犬泙譴
――の5点のうち、複数に当てはまれば、乳児健診で脱臼の有無を確認してもらうことや、診断を受けることを勧めている。

同学会のHP http://www.jpoa.org/
の「公開資料」のコーナーでは、一般向けの予防と早期発見の手引きが紹介されている。

変わる子育ての常識

抱っこやスキンケア、変わる子育ての常識


子育てをようやく卒業したと思ったら、次は孫の世話・・・という人をよく見かけるようになった。
豊富な子育て経験は重宝されるが、スキンケアや「抱きぐせ」など、常識と考えられていた子育ての知識が変わってきている。

じいじ・ばあばと子育てするには
「むきたて卵のようなプルプルの赤ちゃん肌」といった美容グッズの宣伝文句を街中で見かけたりする。
赤ちゃんは肌がきれいなのでスキンケアが不要と思いがちだが、実際に育ててみると肌荒れしやすく、乾燥しがちだ。
 
国立成育医療研究センターの研究で、保湿剤によるスキンケアは乾燥を防ぐだけでなく、アトピー性皮膚炎の予防にもつながることがわかってきた。
生後1週間から1日1回保湿剤を塗るようにしたところ、塗っていない赤ちゃんよりアトピー性皮膚炎を30~50%起こしにくくなったそうだ。
保湿剤には保湿クリームやローション、ワセリンなど様々あるが、どの種類を選ぶかよりも、塗る頻度を1日2回にすることで効果を高められるという。
 
英国の研究では、ピーナツ食品を食べる量が多い家庭では、ピーナツのアレルギー物質がより多く自宅のほこりに含まれていたという。
ピーナツを口にしたことがない子どもでも、皮膚が荒れた部分でピーナツ成分による免疫反応が起きてしまうことがある。
すると初めてピーナツを食べたときにアレルギー反応を起こす可能性がある。
 
すでに炎症を起こしてしまった肌の場合、黄色ブドウ球菌が繁殖してバイオフィルムという膜を作るので洗い流しにくくなり、保湿剤だけでは治せなくなる。
医師の指示に従って、ステロイド剤を塗ってまず肌をつるつるに戻す必要がある。
 
ほかにも、赤ちゃんが泣いてすぐに抱っこすると「抱きぐせ」がつき、甘えた子になるともかつては言われたことがあった。
戦後、欧米から入ってきた育児法のようだが、最近の考えでは抱かれた赤ちゃんは愛情を感じ、将来の自立心につながるので、抱っこしすぎることの弊害はないというように変わった。
 
逆に、泣いている赤ちゃんにかまわないと感情を表現しない「サイレントベビー」になると言われたこともあった。
しかし、はっきりした科学的根拠はない。

赤ちゃんは母乳で育てるべきという考え方も家族間のトラブルになりがちだ。
母乳が出にくい人もいるためだ。
たしかに、免疫が未熟な赤ちゃんにとって母乳は感染症予防に役立つ成分が含まれていたり、母親にも子宮の回復や体重減少を助けたりするメリットがある。
しかし、粉ミルクで育った人が比較的多い30~40代で健康上の問題が多いわけではない。
粉ミルクでも赤ちゃんの健康に影響はなさそうだ。

食事メニューが母乳の栄養価にも関係するとか、食事と乳腺炎の関連があるという情報がインターネットでもよく見られるが、そんなことはない。
 
父親が子育てに積極的に参加するようになり、新しい研究成果も増え、子育てをめぐる状況はここ10年で大きく変わった。
子育ての常識が世代によって違うのだから、ぎくしゃくすることもある。
育児方法の違いが家族間のトラブルにならないよう、お互いに話し合いながら、その食い違いを減らすことが一緒に子育てを楽しむコツだ。

休日や夜間に病院に行くべきか迷ったら・・・
日本小児科学会監修のサイト
http://kodomo-qq.jp/
がある。

朝日新聞・朝刊 2018.3.17

低体重児、成長後にリスク

低体重児、成長後にリスク やせ形妊婦や喫煙が要因

生まれたときの体重が少ない低出生体重児の割合が高止まりしている。
出産後の肥満を嫌う妊婦がやせた体形を求めることが影響しているが、最近は喫煙との関係も明らかになってきた。
低体重で生まれると成人後に心臓病や糖尿病などになるリスクも指摘される。
出生時の体重を考慮した病気予防の取り組みも必要だと専門家は指摘する。

糖尿・心臓病なりやすく
出生時の体重が2500グラム未満だと低出生体重児に分類される。
厚生労働省の人口動態調査によると、2014年の低出生体重児の割合は男児が8.4%、女児が10.7%。1980年ごろから増え始め、高止まりが続く。

◇     ◇
 
この背景には、出産後も体重を維持したいという妊婦が多いことが影響している。
厚労省の国民健康・栄養調査によると、体重(キログラム)を身長(メートル)の2乗で割った体格指数(BMI)が「18.5未満」でやせ形に分類される女性は14年で10.4%。10年前より1ポイント近く上昇した。
特に出産年齢とされる20代は17.4%、30代は15.6%と高い。
 
妊婦の生活習慣による影響も明らかになってきた。
環境省が11年から始めた環境物質による子どもの影響を調べる「エコチル調査」で、約1万人の妊婦を調べたところ、妊娠中にたばこを吸い続けた母親から生まれた赤ちゃんは、吸わない妊婦と比較して出生時体重が平均100グラム以上少なかった。
 
妊娠中の喫煙が胎児への酸素や栄養の供給を減らし、成長を阻害するために体重が減少したとみられる。女性の喫煙率は減少しているものの、同省は「妊婦は注意が必要だ」と指摘している。

洛和会音羽病院(京都市)の総合女性医学健康センター所長は「妊婦には体重を一定以上保つよう指導している」と話す。
厚労省は低体重児の増加に歯止めをかけるためのガイドラインを公表している。
妊娠中の体重増加についてBMIでやせ形の人は9~12キログラム、普通は7~12キログラムを推奨した。
肥満の人については個別対応とした。
 
医学の進歩で体重が少なくても栄養を十分に取れば健康に育つようになった。
このため、問題があると意識しにくいのが現状だ。
だが、佐川所長は「低体重で生まれた赤ちゃんが将来病気になるリスクがある」と指摘する。
リスクがあることを助産師にも伝えている。
 
低体重児だと将来、病気になるリスクが高まるという考え方は「DOHaD説(生活習慣病胎児期発症起源説)」と呼ばれている。
欧州などで研究が進んでいるが、日本でも関連を指摘する研究結果が出始めた。
 
国立循環器病研究センターなどは、大阪府吹田市に住む40~69歳の男女約1200人を対象に、出生時の体重と心血管疾患になるリスクとの関係を調べた。
母子手帳などの記録を手がかりに出生時の体重を3段階に分けたところ、低体重であるほど男性でコレステロール値が、女性で血圧がいずれも高かったという。

◇     ◇
 
同センターの予防健診部長は「日本人でも出生体重と心血管疾患に関係があると確認できた」と説明する。ほかの研究でも脳卒中や糖尿病などの関連性も指摘されている。
同部長は「大人も生まれたときの体重は知っておいた方がよい」と話す。
出生時の体重が少ない場合、病気になるリスクが高いことを知ったうえで、生活習慣を改善するとよいという。
 
DOHaD説の考え方を医療現場に積極的に取り入れるべきだという意見もある。
発症前に病気の危険を見つけ出して予防策を講じる「先制医療」を提唱する京都大学の井村裕夫名誉教授は「日本が目指す健康長寿社会の実現につながる」と強調する。
 
健康診断などで異常が見つかってから治療するのでは遅すぎる。
受精してから死ぬまで健康に気をつけるライフコースアプローチが大切だ。
 
日本では「小さく産んで大きく育てる」といわれてきた。
妊娠・出産の負担に配慮した言葉だが、妊産婦の死亡率は現在、低くなっている。
これからは生まれてくる子どもが将来、病気になるリスクがあることも頭に入れておくべきだろう。

◇     ◇
 
欧州で提唱「DOHaD説」 栄養ため込む遺伝子作用
体重が少ない赤ちゃんが大人になると病気になるリスクが高いとするDOHaD説(生活習慣病胎児期発症起源説)は、英語の「Developmental Origins of Health and Disease」の略だ。
 
この考え方は英国のバーカー博士が1980年代後半に提唱した。
英国の一部地域のデータをもとに、出生時の体重と成人後に心疾患で死亡する割合との関係を調べた。
体重が少なくなるにつれ、心疾患の死亡率が上昇していた。
 
第2次世界大戦末期のオランダで飢餓に見舞われたときに生まれた子どものデータも引き合いに出される。
成人後に肥満になる割合が高かった。
 
体重が少ないと、なぜ病気のリスクが高まるのか。
専門家は遺伝子の働きが関係すると考えている。
 
胎児期に十分な栄養が与えられないと、遺伝子が栄養をできるだけ体内で維持しようとする倹約型になり、出生後に肥満などになりやすいという。
最近は動物実験などから、遺伝子の働きが変わる「エピジェネティクス」が関わっている可能性も指摘されている。
 
海外では、この説に基づいた医療政策も進む。
日本DOHaD研究会の代表幹事を務める早稲田大学の福岡秀興教授は「スウェーデンやノルウェーでは健康な次世代を残すため国を挙げて取り組んでいる」と説明する。
 
学校教育を通じて知識を深めたり、長期の調査を進めたりしている。
健康問題とともに、医療費増大につながる可能性もあるからだ。
 
一方、日本では社会的な認知度が低く、本格的な調査も進んでいないのが現状だ。

 
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参考・引用
日経新聞・朝刊 2016.3.13